誰かに見てもらうための、簡単なデザイン

読んだ本《Webディレクションの教科書》

ひさしぶりの更新です。
1ヶ月に2回はブログ書こう…と思っていたのですが、ついに更新がストップし…「ブログってどうやって書くんだっけ?えっ?WordPressも更新しなきゃだめなの?なにそれ?」という、レベルの下がった状態からお届けします(え)。
来月はアドベントカレンダーもこぞって登録したので、色々更新していきたいです…。

さて、この度「デザイナーのためのプロの制作術が身につく Webディレクションの教科書」という本を読みましたので、レビューを書きます。

作りながら学ぶ HTML/CSSデザインの教科書とかWebデザイン・コミュニケーションの教科書とか、教科書シリーズばっかり読んでます…だって勉強は教科書に沿ってやるものだもの…。
とかいいつつ、「教科書」というタイトルは流行りなのでしょうか…。

しかしながらこの「Webディレクションの教科書」は、ほんとに教科書みたいで、本文の内容も教科書のように図解や説明を交えながら、しかもその説明がしっかりとした資料と根拠の上に成り立っているものだから、教科書と呼ぶに相応しい本だと思いました。
そして付録(巻末資料)も役立つこと役立つこと。日本史の教科書の巻末にあった歴史年表くらい役立ちました(なにその例え)。

Webデザイナーだけでなく、Web制作に関わる人…特に様々なクライアントから仕事を請け負う方にはとても役立つ本だと思いましたので、感想を交えつつレビューします。

textbook_of_web_direction

対象者は「Web制作に関わる全ての人」

この本のタイトルに「デザイナーのための」とか「Webディレクション」とかありますが、デザイナーやディレクターさん向けの本…という範囲に留めておくのは惜しい気がします。
そういった職種の垣根を超えて「顧客のニーズに応えるホームページを制作・運営する」ということについて詳しく書かれているので、プログラマーさん、Web担さんなど、Web制作や運営に関わる方全てに役立つ本だと思います。

本の内容ですが、

      1.Web制作に関わる上で、新人デザイナーさんが気をつけてほしいこと(心構え)
      2.クライアントへの効果的なヒアリング方法
      3.ヒアリング内容を分析する
      4.ヒアリング内容に基づいた企画をたてる
      5.Webサイトの構造を考える
      6.Webサイト構築・デザイン制作
      7.サイト公開後の運用と管理

このように、現場で実際行われているであろうフローに沿って、それぞれを分析、解説されています。
技術的な話(Photoshopの使い方とかHTML5についてなど)はなく、心構え的な話、注意点が多いです。
心構え…と聞くと、あやふやだし、人や状況によって変わるし、なんだかよく分からない…と思いがちですが、この本に書かれている心構え的なものは、古くからのマーケティング手法や分析法、現場で使われているヒアリングシートなどを使って解説されているので、根拠がしっかりしています。
なので、基本に立ち返る意味で知っておいて損はなく、クライアントにヒアリングしている時に「なんでこんなこと聞いてくるの?」と聞かれても、はっきりと答えを返せる内容ばかり書かれています。
感覚で進めていくタイプの本ではなく、ヒアリングと分析を繰り返し、建設的に一歩一歩進んでいくためのWeb制作手法について書かれた本…という感じです。

こう書くと難しく感じますが、説明はとても丁寧です。
たとえ話なども「風邪をひいたら治すために何が必要か」や「マクドナルドを見ると…」など、Web制作に関係なく、日常に関係しているものに例えて説明されているので、Web制作初心者さんでもイメージしやすく読み進められるのではないかと思います。

ただ、マーケティング手法・分析法などは、用語の解説はありますが専門用語(SWOT分析、KGI、KPI、AISASの法則…などアルファベット系が多いです)がよく出てくるので、最初は覚えられず戸惑うかもしれません。
ですが、読み返すうちに理解ができると思うので、まさに教科書的な意味で手元に一冊あると安心だと思います。
アルファベットな用語知ってると、ちょっと賢くなった気がするよね!

5つに分かれたクライアント像

この本の特徴ですが、クライアントが5パターン(5人)いて、その5人それぞれと一緒に、ヒアリングから設計・公開・運営をしていく…という設定です。
5人全員と一緒に作っていくのではなく、それぞれ個人+制作者(自分)、という形です。

クライアントは

  • ・Webに関してほぼ知識がない人
  • ・紙媒体や広報に知識はあるがWebはあまり知らない人
  • ・Web制作者ではないが、Webの知識があり自信を持っている人
  • ・ECショップ運営の経験があり、自分である程度作業ができる人
  • ・Web制作の知識が高く、的確な指示が出せる人

の5パターンです。

それぞれの特徴を見ると「あるある…」と思わずつぶやいてしまいそうな、クライアントに実際いそうな人物像ばかりです。あるあるすぎて逆に、よくこんな設定考えたな…と思いました。
その5人それぞれと制作を進めていくのですが、知識や経験がバラバラなので、提案内容や進め方もバラバラになってきます。
そのバラバラの5人に対する効率的な進め方、考え方が、各フローで解説されています。

Web制作を始めたばかりの人…そうでなくても、初めての打ち合わせの時にはどんな人が来るのかドキドキすると思います。
しかしこの5つのパターンを知っておくことで、不安は若干解消されるはずです。
この本には、そういう時にお手本になってくれるような進め方が、しっかりとした根拠に基づいて書かれています。本の通りにはいかないとこも多々ありますが…指標があるだけでも心強いと思います…。

非常に論理的

私がこの本を読んで一番感じたことは「根拠がしっかりしている」です。
クライアントと打ち合わせを進めるにあたり「3-6-3ヒアリングシート」や「A4アンケート」などといった質問用紙をクライアントに記入してもらい、それを分析するのですが、その分析も「4P/4C分析」とか「SWOT分析」といったことをしていきます。
このヒアリングシートや分析法は、古くから使われていたり、手法が確立されていて多くの現場で使われていたりと、すでに実績のあるものばかりです。
そしてそれは独りよがりな分析にならず、説得力のある分析結果として手元に残ります。

4P/4C分析とか、言葉だけからして非常に論理的な匂いはするかと思うのですが、その通りです。
ただ感覚だけではなく、クライアントからの希望をきちんと分析し、それを数字や言葉にして、目に見える形で伝えられるツール・手法がこの本では沢山紹介されています。
実際グラフを作ったり、表に起こしたり…という作業も発生します。
ちょっと面倒に感じるかもしれませんが、実績があり、また目に見えて残せる手法はそれだけで根拠になりますし、特に初心者さんには拠り所となると思います。

そういったヒアリングや分析に必要なシート類は「付録」に、手法などの参考書籍は本文中のコラムで紹介されていますので、すぐに使えますし、もっと深く知ることもできます。

理論に基づいたWeb制作、顧客分析法を1つにまとめた書籍は珍しいのではないかと。
専門的な用語の解説も豊富なので、辞書としても使えそうです。
ちなみに「人のタイプが分かると話がしやすい」など、ちょっと心理学的なコラムもあったりします。

作るだけで完結しない

この本は技術書ではなく、実際の作業方法、ソフト類の使い方などは書かれていません。
クライアントと打ち合わせするにあたってのヒアリング法から分析、実際のWeb制作、そして公開後の運営までを、効率よく、クライアントとの意識のズレがないように進めるための手法が書かれています。

ホームページ作って終わり…ではなく、公開後もクライアントやWebサイトとより良く付き合っていくための知識が詰まった本です。
余裕が無いと制作業ばかりに没頭しがちで、こういう本を読んでも制作主体でしか考えられないことも多いのですが、この本の「Webだけでは完結できないことを理解し、もっと広い視野を持とう」というコラムがとても良かったです。

Web制作をしている人、Webに興味がある人、Webで何かをしたい人…Webは現代人の生活に欠かせなくなりましたが、それでもWebと密接している人は一握りです。
なのでWebばかりではなく、もっと広い視野を持って考えることが大事で、Webサイトを作った後も、そのページが世の中の沢山の人に愛されるようにしなければならないのだな、と、当たり前なんですけど、そんなことに気づかされた本でもありました。

なんか長くなってしまいましたが、これから制作をするにあたって、手元に置いておきたい一冊だと思いました。
技術書ではないけれど、参考書。付録の多い参考書。そしてなんかよく分からないアルファベット用語の辞書としても使える。そんなイメージです。

知らない言葉ばっかり出てきて、それを知ることができて、ちょっと偉くなった気がして、調子に乗れそうな感じがしました☆

それでは!Have a nice design!!