誰かに見てもらうための、簡単なデザイン

読んだ本《Webデザイン・コミュニケーションの教科書》

Webデザインの本といったら、PhotoshopやIllustrator、コーディング等の技術書を思い浮かべがちですが、それとはまた違った目線で書かれた本「Webデザイン・コミュニケーションの教科書」を読みました。

IMG_2887

技術書ではない…ということで、内容が想像しにくいと思うのですが、Webデザイナーがディレクターやクライアントと打ち合わせする際に気をつけたいこと…心構えや、こういったことを質問しておきましょう、と言ったことが最初に書かれています。
他にエンジニアとの打ち合わせで気をつけたいことや、効果的なボタンやアイコンの使い方、スマートフォンのデザインについて…などといったことが書かれています。
どれも今のトレンドに合わせた内容で、今と昔を比べたりしつつ、ユーザーが使いやすいデザインをするための注意点が書かれています。

最初に感じたのは「ちぐはぐ感」

この本ですが、ページ数は192ページ程度…ということで、そんなに多くはありません。図なども大きく入っているので、文字がびっしりということもなく、読むのに時間がかかる本ではないと思います。
しかし…本文は1ページに2段組なのですが、図が入ることによって構成がガタッと崩れていることがあり…図が2段ぶち抜きで入ってたり、文中の区切りの悪いところで図が入ってきたり、しかもその図が今読んでいる部分と関係ない図だったりして…ちょっと読みにくい感じがありました。
ページ構成の都合上かな…と思うのですが、段落ならその段落でまとまっいる感じが個人的には読みやすく頭に入りやすいと思うので、ちょっと残念に思いました…。
また、図も本文と同じカラーリングで、黒文字と黒線が主体になってるものが多かったので、本文との見分けがつきづらかったです。

内容も、デザインの基本的な部分に触れられてはいるのですが、Web制作における専門用語などの解説はありません。
なので、この本の一番最初の「対象となる読者」のところにも書かれているのですが、会社に入って1〜2年のWebデザイナーや、紙媒体でのデザイン経験がある…など、Webやデザインの知識が多少なりともある人向けだと思います。
が、そのような経験者は通常実践しているだろうことも書かれているので、対象者がよく分からない…といった感じはありました。

しかし、なんとなく実践しているのと、これが正しいと分かって実践しているのとでは違います。
「これがベターである」ということが本に書かれていれば、自信を持って実践できます。
そういった意識を再確認する上では、きちんと基本的なことが書かれています。

コミュニケーションは、結局は自分自身

この本は、最初はディレクターやクライアントとのコミュニケーションの取り方について書かれています。
これは手戻りを極力減らすためであったり、駆け出しディレクターや、デザインについて専門ではないクライアントから、要望をなるべく正確に聞き出すためであったりします。
そのために、デザイナーができること…ディレクターが打ち合わせしてきたことに対して「何これw デザインのこと何も分かってないわw」とか陰でdisるのではなく、ディレクターやクライアントときちんと対話すること、指示通りにするだけではなく、使いやすさ等自分自身でもちゃんと考えてデザインすること…などの大切さについて、実例も交えながら解説されています。

ですが、コミュニケーションは通常の技術書のように「これをやれば正確に動作する」というわけではありません。
それなりの指標はあるものの、実際は状況や人柄などの要素に左右されて、ほぼ思い通りにはいきません。
なので「本に書かれているから」という理由で実践する前に、自分でも一度考えてみる必要があると思います。
その時々によって正解は違いますし、正解などないかもしれませんし、何より自分が受け身にならずにやらなければいけません。
普段こもってデザインを作りがちな人ほどとても難しい壁だと思いますし、とても面倒に感じるかもしれません…。
ただこの部分だけは、自分自身の力がないとなんともならないのです…。
そのあたりの会話例や、提案の仕方などは例を挙げて書いてありますが、やっぱり自分の力によるところが大きい、と感じました。

余談ですが、最近お話したWeb制作者さんで「僕はクライアントをどれだけ笑わせることができたかを見る。沢山笑わせられれば勝ち」みたいなことを話されている方がいて、「なるほど!」と思ったものです。
「どれだけ笑わせられるか」というのはとても抽象的で、パターンも様々だと思います。プロジェクトが成功して笑ったのか、プライベートのおかしな話をして笑ったのか…などなど、パターンによっても違ってきます。
しかし、それで双方が打ち解けられていき、仕事がしやすくなるのは想像に難くないと思います。
「どれだけ笑わせられるか」というのはその方の基準によりますが、コミュニケーションを取る上での独自の指標があるのはとても良いことだと思います。
しかも「笑い」という、楽しいところに基準を置いたのは素晴らしい…!
それは自分の武器にもなると思います。ここまで自分のコミュニケーション力を高められることは理想じゃないでしょうか。

デザインの可視性

この本で、とても注意深く、そしてブレずに書かれていることは、「ユーザー目線で考える」ことだと思います。
クライアントや制作チームとの対話も大切ですが、やはりユーザーとの対話が成立しないとデザインやWebサイトは成立しません。
この本では、電車の乗り換え案内、歯科医院の予約画面、ECサイト、企業サイト、スマートフォン向けページ…いろんな場合での「ユーザー目線」で考えられたデザインノウハウ、画面デザインが紹介されています。
ボタンの押しやすさ、見やすいバナー、フレンドリーさと高級感の使い分け、使いやすいスマートフォンページ…。使いにくい例など、複数案と一緒に紹介されているので、見比べもできて良いと思います。
デザイナーという立場にいると、見た目の綺麗さや可愛さばかりに目が行って、本当にユーザーが使いやすいかどうかが分からなくなってしまうことがあるのですが、ユーザー目線を失わないための、ユーザーが使いやすくなるための小さな気付き的なことがいくつか書かれています。

一度デザインしてみて、その後この本を見て、本当にユーザーが使いやすいかどうか検証してみる…という使い方もできそうな本だな、と思いました。
スマホサイトなどは、使いやすさを実装するためのコードも少し書かれています。
目的や使い方がクリアになるサイトづくりの参考になりそうです。

普段やっていることの再認識を

この本は、何か新しいことや難しい技術について解説されているわけではなく、普段の制作で見逃しがちな小さな気付きや、ちょっとしたことでデザインがぐっと良くなることを、筆者さんの経験に基づいて書かれています。
こういう本は珍しいと思います。
新しいことはできないかもしれませんが、時代に即した気配りのきいたWebサイトを作るための技が詰まっています。
時代に即した…というのは結構重要で、今のトレンドに合わせた「ものづくり」は何かと求められるので、これからWeb制作を学ぶ方にはとても参考になると思います。
また、経験者さんも基本に立ち返るには良い本だと思います。

個人的には、デザイナーさんだけじゃなく、ディレクターさんや企業のWeb担当者さんにも見てもらいたい本だと感じました。ユーザー目線で考えることはディレクターさんやWeb担当者さんにも必要ですし、デザイナーじゃないと理解できないという内容はあまりないので、デザイナー以外の方にも幅広く読んでもらえる内容だと思います。

個人的には、2回読むのがおすすめです。
デザインのこと、コミュニケーションのこと…とテーマが幅広いせいか、1回読んだだけだと内容がバラバラな感じがしたのですが、2回読むと全体像が摑め、「このテーマで困ったらここを参考にしよう!」というのがよく分かりました。
ページ数も少なめなので、2回目はすらすら読めると思います。

それでは!Have a nice design!!